10月1日の8%から10%への消費税率引き上げまで1カ月を切った。飲食料品や新聞に適用される軽減税率をはじめ、幼児教育・保育の無償化、さらには自動車や住宅での税優遇、ポイント還元の促進、公共投資など、至れり尽くせりの経済対策が打ち出されている。その影響か、足元では「今回の駆け込み需要は局所的で小さい」との見方も多い。
とはいえ、増税実施時に混乱が起きることは避けられないだろう。店内飲食と持ち帰りとで税率が異なるなど、軽減税率のわかりにくさは店舗の現場を惑わす。中小小売店でのレジ改修も遅れている。
さらに不気味なのは、世界景気後退の足音だ。米中の報復関税が過熱し、その不透明感から欧米や中国の景気減速感が強まっている。世界の株式市場も不安定さを増した。一部にはリーマンショックの再来を危惧する声もあるほどだ。
10%への消費税率引き上げ後、日本の税・財政政策の運営はどうなるのか。それを占ううえで重要なのは、財務省首脳人事だ。岡本薫明・事務次官は続投が今夏決まり、2年目に突入。と同時に「次の事務次官」と本命視される太田充・主計局長も留任し、来年の事務次官就任が濃厚だ。
両氏はともに1983年入省。同省の慣例からいって同期入省組が合計4年事務次官を務めることはないため、太田氏の事務次官の任期は1年とみられる。
景気後退なら即財政出動
実力者の岡本氏だが、主計局時代に厚生労働畑の経験がなく、ここ数年、財務省の政策を実質的に主導してきたのは太田氏だった。脇を固める宇波弘貴・主計局次長とともに、2017年夏に幼児教育・保育の無償化を安倍晋三首相官邸に進言、その後、至れり尽くせりの消費増税対策もまとめ上げた。
一言で言えば、太田氏は財務省における“官邸寄り添い派”の筆頭だ。仮に10月の消費増税後、景気の腰折れが見られたり、世界景気後退や金融マーケットの異常事態が起きたりすれば、財務省は即座に大型の財政政策を打ち出すだろう。財政再建派がにらみを利かす財務省内でも、ワンショット(1回限り)の支出なら容認するムードがある。
一方で消費増税後に、駆け込み需要の反動減が小さいことが判明すれば、今回の大型の増税対策は消費税率を10%を超えて上げるための支援材料になる。「小刻みの税率アップとセットで行えば、景気変動への影響は小さくて済む」と、世論や議員に理解を求めやすくなるからだ。
今夏の幹部人事では、同省の財政再建派の筆頭格である矢野康治・前官房長が主税局長に就任したことも見逃せない。消費税率の10%への引き上げ後も、国・地方の基礎的財政収支は10兆円前後(対国内総生産比約2%)の赤字が残る見通し。一足飛びにはいかないが、いかに増税への道筋をつけるかが矢野氏の課題になる。
今年5月、自民党の財政再建推進本部は「令和時代の財政再建についての共通基本認識」を取りまとめた。岸田文雄・政調会長が本部長を務め、稲田朋美・筆頭副幹事長や額賀福志郎・税制調査会小委員長、小渕優子・同副会長ら有力議員が名を連ねる。
「共通基本認識」では、65歳以上人口がピークを迎える40年代半ばを見据えた財政推計の策定(現状の内閣府推計は今後10年間だけ)を提言するなど、消費税率10%超に向けた新たな胎動も見える。ただし、自民党内には消費増税反対を唱える有力議員もおり、増税に向けた主税局の環境づくりが奏功するかは予断を許さない。






















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