ナショナリズムと保守主義との融合を目指して7月に米首都ワシントンで開かれた大規模な「国民保守主義会議」をめぐって、米主要紙も含め議論が続いている。トランプ現象を受けて米国の保守思想の根本的再編の動きが起きているという見方では、主催者側も外部の左右の批判者も一致している。ただ、今後の方向性をめぐっては当事者も含め甲論乙駁(こうろんおつばく)だ。会議にはさまざまな思想集団が相乗りしているからだ。
とはいっても、大きな傾向は見える。それに対する批判も出た。既存の保守論壇の重鎮ジョージ・ウィルは、国民保守主義が求めているのは結局、民主党左派(社会主義者)が求めているものと同じではないか、と批判した。
会議登壇者の中で注目を浴びた保守系FOXテレビの人気キャスター、タッカー・カールソンや『ヒルビリー・エレジー』の著者J・D・ヴァンスらは、下層労働者階級の政府による救済や産業政策による製造業振興と雇用回復など、ニューディール型の施策を訴えた。これでは、小さな政府による個人の自由の拡大を柱としてきた従来の保守主義とまったく相いれない、社会主義と変わらないというのがウィルの批判だ。
そうした社会主義的政策に、移民規制など人種がらみの政策が結び付くと、ナチズム(国家社会主義)と似た道を歩むことにならないかという警戒感も、ユダヤ系社会などから出ている。
ナチズムとの連想を生んでいるのは、会議が「米国は理念(国家)ではない」という主張を打ち出したためでもある。米国は自由や平等といった啓蒙思想の理念に基づき生まれた国だ、との考え方は左右を問わず常識となってきた。とくに保守派にその傾向が強い。だが、これまで米保守主義を担ってきた理念型勢力(ネオコンやリバタリアン)を同会議は排除した。
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