「自動運転の先駆者」とも呼ばれるエンジニア、アンソニー・レヴァンドフスキに注目が集まっている。同氏は米グーグルで自動運転技術の開発が始まった頃からチームに参画、同業界では知らぬ人はいない人物だ。ただし、今や悪名高き“産業スパイ”に成り果てている。
8月28日に米連邦検察当局が同氏を33件の企業秘密窃盗、窃盗未遂の罪で起訴した。9月4日には保釈条件を詰めるためにサンノゼ地方裁判所に出頭。当局側は1000万ドルを要求したが、保釈金は200万ドルで落ち着いた。
レヴァンドフスキの名前が取り沙汰されたのは2017年のことだ。16年1月にグーグルを退職した同氏は、5月にトラックの自動運転技術を開発するオットーを共同で創業。このオットーは何とたった数カ月後に米ウーバーに買収され、レヴァンドフスキはウーバーの自動運転事業のトップに就いた。買収額は5億9000万ドルとされている。グーグルを退職した1年後には、同氏が参画していた自動運転プロジェクトもウェイモという企業に発展した。
ところが、17年2月にウェイモがウーバーを訴える。同氏がグーグル退職前に自動運転技術の資料をダウンロードし、企業秘密を手にウーバーに移籍していたことが明らかになったという。
自動運転技術の競争が激しくなる中、両社が技術の存続をかけて法廷で闘う事態に発展した。レヴァンドフスキの移籍によってウーバーが自動運転プロジェクトを本格化したこともあり、当時ウーバーCEO(最高経営責任者)だったトラビス・カラニックが企業秘密の窃盗を知っていたのかどうかも争点の1つになっていた。
しかし18年2月、ウーバーが同社評価価値の0.34%に当たる額の2億4500万ドルをウェイモに支払うことで突然和解。レヴァンドフスキの名前も争いの表舞台から消えたように思われていた。だが今回、刑事事件で再び浮き上がってきたわけだ。裁判は9月末から始まる予定。同氏は無実を訴えているが、有罪となると25万ドルの罰金に加えて最長10年の禁固を言い渡される可能性もある。
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