米国では歳出上限が廃止される方向にある。10年続いた財政運営の枠組みがなくなり、米国の財政は分岐点に立とうとしている。
歳出上限廃止の方向性は、ひっそりと決められた。7月末にトランプ大統領と米議会は、債務上限の引き上げによるデフォルト(債務不履行)の回避や、2020、21年度の歳出上限引き上げで合意した。財政運営の不透明さを解消する画期的な合意だっただけに、同時に決めた22年度以降の歳出上限廃止の方向性には、それほど注目が集まらなかった。だが、歳出上限の廃止は、金融危機後に行われてきた財政再建の終わりを告げる大きな節目で、米財政にとっては重要な転換点である。
米国は08年秋のリーマン・ブラザーズ破綻をきっかけとした金融危機の際に、国内総生産(GDP)比で約10%にまで膨らんだ財政赤字を削減するため、オバマ政権下の11年に財政再建策を断行した。議会予算局(CBO)が当時予測した数字を見ると、再建策実施前(11年1月)と実施後(12年1月)とでは、12~21年度の財政赤字が、累計で約4兆ドル少なくなるほどの意欲的な計画だった。
再建策の中核となったのが、歳出上限である。あまりの厳しさに、その後の毎年度の予算編成ではいかに上限を引き上げるかがつねに争点となってきたほどだ。
この7月の合意には上限の延長が盛り込まれていない。そのため、22年度以降は、10年ぶりに自由に歳出額を決められる見込みとなった。
当初の想定より悪化
役目を終えようとしている財政再建策は、はたして機能したといえるのだろうか。
まず税収である。18年度の税収は再建策実施後の予測より、約9000億ドルも少ない。理由は度重なる減税だ。オバマ政権下の13年には、00年代初頭に実施された大型減税が一部恒久化された。トランプ政権も17年に大型の減税を行った。
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