米国の戦後保守主義を築いた思想家の1人、ラッセル・カークは保守主義とナショナリズムは相いれないと考えていた。
米国人はナショナリズムという言葉を嫌う。20世紀前半に2つの世界大戦を引き起こした元凶は、ナショナリズムだったと考えるからだ。愛国心を意味するときは「パトリオティズム」を使うことが多い。だから、昨年10月にドナルド・トランプ大統領が演説で「使ってはいけない言葉らしいが、自分はナショナリストだ」と言明したときは国内外に波紋が広がった。
「使ってはいけない言葉」であり、保守主義の敵でもあるナショナリズムと保守主義を融合させようという思想運動が米国で動き出している。決起集会のような会合が7月中旬、約500人の論客や活動家を集めて首都ワシントンで開かれた。米保守思想の再編が始まっていることを象徴する動きだ。帰趨はまだ読めないが、米国の国の形がどう変わっていくか、判断する重要な材料であろう。
「国民保守主義(ナショナル・コンサーバティズム)」と題された会合は依然、呉越同舟の様相が見られる。明らかなのはネオコン(新保守主義者)とリバタリアン(自由至上主義者)の排除だ。この2者は米国と世界の混迷を導いた「戦犯」と見なされており、ネオコンはトランプとも犬猿の仲だ。
新たな運動に相乗りしているのは、戦前型の孤立主義的なパレオコン(旧保守派)、宗教右派の知識人指導者、ネオコンと対立していた西海岸シュトラウス派と呼ばれる知識人集団などだ。宗教右派とのつながりを持つイスラエル・ロビーの影もちらつく。講演者としてジョン・ボルトン国家安全保障担当大統領補佐官が送り込まれ、政権お墨付きの様子もうかがえる。
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