6月20日、トランプ米大統領はイランのレーダー基地などを標的とする攻撃命令をいったん下しながら、150人のイラン人が犠牲になるという報告を聞いて、10分前に攻撃中止を命令したと発表した。イランとの長い戦争に米国を引きずり込みかねない危険な火遊びを回避したと、米国メディアは評価している。だが、「芝居がかった」トランプ氏の行動には賛否両論がある。
そもそも、一度下した命令の翻意を世界に知らせることに、どのような意味があったのだろうか? 最も説得力のある解釈は、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のコラムニストで歴史家のウォルター・ラッセル・ミード氏の論説「トランプ氏が仕掛けるイラン劇場」(6月25日付)だ。ミードは次のように指摘する。
トランプ政権の戦争の傾斜に対し、ハト派と孤立主義者らはパニックに陥ったが、その後の中止に歓喜した。タカ派はオバマ氏のような譲歩だと批判したが、イランへのサイバー攻撃と制裁強化の公表で怒りを鎮めた。米国民も世界もトランプ氏の一挙手一投足にくぎ付けとなり、次の展開の予想に夢中になった。イラン劇場は、世界がこれまで目にしたことのない迫真のリアリティーショーとなった。
筆者も同氏の見方に賛成だ。トランプ氏の目的は、イランの核開発を阻止することなどではない。もしそうならば、既存の核合意から離脱したことは理にかなわない。本当の目的は、支持者の関心をイランに引きつけて不都合な真実から目をそらさせ、来年の大統領選挙で再選することなのだろう。
直面する3つの課題
不都合な真実とは何なのか。6月になり、喫緊の対応が必要となる3つの事件が発生した。
1つ目は世論調査だ。ABCテレビがトランプ陣営実施の内部世論調査をリークし、民主党最有力候補のバイデン氏とトランプ氏の支持率が、再選のカギを握るペンシルベニア州で55%対39%、ウィスコンシン州で51%対41%と、バイデン氏に大幅にリードされていると報じた。この数字についてトランプ氏は「フェイク(捏造)」だと批判し、世論調査チームの3人がクビになった。
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