米国は8月5日に中国を為替操作国に認定した。これは、トランプ大統領がドル安志向を一段と強めたことを意味する。トランプ大統領は、貿易相手国が不当に通貨を切り下げた結果、ドルが歴史的な高水準にまで押し上げられ、これが米国に巨額の貿易赤字をもたらしていると信じている。
今後は、中国だけでなく日本や欧州などにも通貨切り上げを求め、また、通貨安につながる金融緩和の実施を控えることまで要求する可能性がある。
トランプ大統領は、当面は、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げを通じたドル安誘導という戦略を維持するだろう。
しかし、それでも思うとおりのドル安にならない場合、単独でドル安を狙った為替介入を実施する可能性も出てくる。7月にはピーター・ナバロ大統領補佐官がドル売り介入によってドルを10%切り下げる提案をした。これには側近が強く反対して、トランプ大統領もこの案を却下した。しかし、「実施しないと言ったわけではない」とも発言して、引き続き選択肢として残す考えを示唆している。
1985年のプラザ合意後のドル高修正は、米国と主要国の協調介入によるものだった。しかし、次に実施されれば、トランプ大統領が他国の不当な通貨切り下げに対する一種の報復として行うことになるため、米国の単独介入となる。
米国は、70年代から80年代にかけて、ドル売り・ドル買い双方の介入を積極的に実施したが、その後、頻度は大きく低下した。
2011年の東日本大震災発生後の円急騰を受けて、G7(主要7カ国)が協調介入した際には、ドル買いが行われた。米国による為替介入はその後、行われていない。米国がドル売り介入を行うとしたら、2000年に実施されたユーロ相場下支えのための日米欧協調介入以来のこととなる。
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