米国の対中追加関税による成長鈍化をFRB(米連邦準備制度理事会)が金融緩和によって相殺するとの期待が、市場では定着しつつある。先々1%程度へ利下げすることをすでに織り込み、その効果で米国の株価は依然として高水準を維持している。
しかし、実際に経済成長が維持されるとすれば、実体経済対比で過剰な緩和の効果が残ることにもなり、それがいずれ資産価格の過熱や過剰な信用拡大など「金融のインバランス(=不均衡)」を引き起こす懸念もある。
中央銀行の使命として最も重要なのは「物価の安定」だが、中央銀行は「金融システムの安定化」すなわち「プルーデンス政策」にも責任を負っている。プルーデンス政策の観点からは、「金融のインバランス」は看過できない問題のはずである。
ただし、プルーデンス政策は中央銀行以外の金融規制を専門とする官庁が中心となって行っている国も多い。例えば、日本の場合は金融庁がある。中央銀行が「物価目標」を達成できておらず、金融引き締めを実施することが難しい場合は、金融規制当局が規制を強化してインバランスに対処する必要も生じてくる。しかし、それが過剰規制、過剰監督となって金融産業の効率性を損なうことも起こりうる。
実は同様の議論が、財政政策と金融政策との間にも存在する。金融緩和による低金利環境は財政収支を改善させる一方、政治的にはどうしても財政規律を失わせる傾向がある。それを懸念して財政当局が緊縮政策を目指してしまうと、今度は物価目標の達成を妨げる可能性がある。
本来、中央銀行に「独立性」が付与されるようになったのは、インフレが加速しても政府はつねに経済成長を望み、財政政策も拡張傾向となりやすいので、中銀が自由に金融引き締めを行えるようにするためであった。
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