6月27日、電気自動車(EV)メーカーで、中国のテスラといわれている上海蔚来汽車(NIO)が、大規模なリコールを発表した。
リコールの対象は同社の多目的車ES8で、2018年4月から10月の間に出荷された4800台だ。今年5月までの累計出荷台数の3割弱に相当する。
立て続けに発生した発火事故がその理由で、NIOと電池メーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)はともに原因は電池の不具合だと認めつつも、具体的な責任の所在については明言を避けている。
同じ時期に米EV大手のテスラも中国で発火事故を起こしたものの、リコールには至らなかった。NIOの事案は、中国初めてのEVリコール、しかも大規模なリコールであるがゆえに、市場の注目を集めている。
14年11月に発足したNIOは、国内のテンセントと高瓴資本や、シンガポールのテマセク、米国のセコイアなど有力ファンドの投資を受けて、2年後の16年11月に初の量産車EP9を完成し、さらに17年の12月にES8を発売した。その結果を受けて、NIOは会社設立から4年に満たない18年9月に、米ニューヨーク証券取引所で株式公開を果たして、新興EVメーカーが乱立する中国では、一歩先んじた存在となった。
リコール発表後、NIO共同創業者兼総裁の秦力洪氏は安全問題のほかに課題を3つ挙げている。黒字転換、顧客の信頼、そして資金調達だ。
累損は5000億円超
まず、黒字転換の可能性を見てみよう。NIOの今年1~3月期決算は26億元(1元は約16円)の赤字で、起業からの赤字は累計370億元に達した。販売台数は18年10~12月期には7680台と好調だったが、19年1~3月期には4000台を割った。さらに、19年7月以降は消費者向け補助金が地方政府分は全面停止、中央政府分も前年に比べ半減することになっている。今後リコールによる顧客離れが起こるかどうかは別として、この環境の下での業績改善と黒字転換は期待できないだろう。
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