熊本県阿蘇市は県北東部にある面積376平方キロメートル、人口約2万6000人の街である。街の大半が位置する阿蘇山のカルデラ盆地は、北海道の屈斜路カルデラに次ぐ日本有数のカルデラだ。周囲の距離は屋久島の島周とほぼ同じで128キロメートルに及ぶ。
阿蘇カルデラは約9万年前、阿蘇火山の4度にわたる大爆発によって土地が陥没し、形成された。年間2800ミリメートルを超す豊富な降水量の恩恵を受け、約1万5300ヘクタールの大草原が広がる。
阿蘇市の中央部にはJR豊肥本線と国道57号線が走っており、東の大分県竹田市、西の熊本市とつながっている。市の代表的な産業はコメ、トマト、ホウレンソウ、アスパラガスなどの農業、「あか牛」ブランドで知られる肉牛や牛乳、豚、ブロイラーなどの畜産だ。観光業などの第3次産業も街の経済を牽引している。
2018年の観光客数は473万人。観光の目玉は何といっても阿蘇山をはじめとする山々の雄大な景観だ。阿蘇山は外輪山と数カ所の中央火口丘から成り、東西の距離は18キロメートル、南北の距離は25キロメートルに及ぶ。中央火口丘の中には、ギザギザの山容が特徴的な根子岳(ねこだけ)や最高峰の高岳、噴火口のある中岳などがあり、さらに杵島岳(きしまだけ)、烏帽子岳(えぼしだけ)を合わせて「阿蘇五岳(ごがく)」と呼ばれる。
観光客の多くは、北外輪山の最高峰である大観峰から阿蘇の雄大な風景を楽しむ。その景観のすばらしさから、世界ジオパーク、日本ジオパークにも登録された。ちなみに「大観峰」は明治の文豪、徳富蘇峰が名付けたという。
今も残る熊本地震の爪痕、阿蘇山の噴火にも警戒
観光地にとって最大のリスクは天変地異だ。阿蘇市には16年に起こった熊本地震の爪痕が今も残っている。その1つが、阿蘇神社の「楼門」だ。阿蘇神社は約2300年の歴史を誇り、楼門は国の重要文化財に指定されている。熊本地震では楼門や拝殿、翼廊が倒壊。さらに3カ所の神殿も破損した。ほかの復旧工事はおおかた完了したが、楼門の修復は23年度になる見通しだ。
この記事は有料会員限定です
残り 591文字
