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生気を取り戻しつつある名湯 鬼怒川温泉[栃木県日光市]

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  • 牧野 知弘 不動産事業プロデューサー

鬼怒川温泉は栃木県日光市の鬼怒川上流域にある温泉だ。鬼怒川は江戸時代初期までは常陸川などと並び、香取海(かとりのうみ)(太平洋側の銚子近辺)に至る本流の河川だった。その後「利根川の東遷」と呼ばれる江戸時代の河川改修の影響で、利根川の支流となった。

鬼怒川温泉は古くは「滝温泉」と呼ばれて親しまれてきた。しかし明治、大正期に鬼怒川上流域に水力発電所が建設されると、川の水位が下がり、周囲に多くの源泉が発見された。その結果、1927年に藤原温泉とともに「鬼怒川温泉」と称されるようになった。

鬼怒川温泉は関東の名湯として熱海温泉、箱根温泉を含め「東京の奥座敷」としてにぎわった。平成バブル期の93年には、年間観光客341万人を集めた。観光客の中心は法人だ。会社や団体の宴会旅行を対象に大型旅館が増築、設備増強を繰り返した。資金を支えたのは、地元金融機関の足利銀行だった。

だが、平成バブルが崩壊して法人需要が激減。東北新幹線の開通により国内旅行客が東北各地に分散したほか海外旅行にも向かったため、街には閑古鳥が鳴き始めた。2003年に足利銀行が経営破綻し、銀行の主要な融資先だったあさやホテル、金谷ホテルなどのホテル・旅館11社が産業再生機構へ再生を申請する事態に陥った。

その後も有名旅館やホテルの経営悪化はとどまるところを知らず、08年には鬼怒川第一ホテルが閉館、10年には元湯星のやが廃業、11年にはニュー塩原グループが特別清算するに至った。

苦境に追い打ちをかけたのが、11年に発生した東日本大震災だ。福島第一原子力発電所からの放射能漏れは、法人需要から個人旅行客への業態転換を図っていたホテル・旅館業界に大打撃を与えた。鬼怒川沿いの閉館した大型旅館などの建物は廃墟化し、風光明媚な温泉地だった鬼怒川温泉に暗い影を落とした。

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