「人工ダイヤモンド運動」が起きている。
天然ダイヤモンドではなく、人工的に作られたダイヤモンドを身に着けようと訴える運動だ。従来のダイヤモンドの採掘や流通が起こしてきた戦争や搾取構造、未成年者労働、環境破壊などに反対する「エシカル消費」に伴う動きだ。背景には、新しい技術により人工ダイヤモンドの質が格段に上がっていることが挙げられる。今や人工ダイヤモンドではなく、「ラボ製造ダイヤモンド(lab-grown diamond)」などと呼ばれている。
ラボ製造ダイヤモンドに関わる企業で組織される米国の業界団体・IGDAによると、婚約指輪の購入を予定しているミレニアル世代の66%は「ラボ製造ダイヤモンドを検討したい」とし、23%は「絶対にラボ製造品を買う」と答えたという。また、ラボ製造ダイヤモンドは、2016年にはダイヤモンドの全売り上げのうち1%を占めるだけだったが、18年には2〜3%まで拡大した(同団体による)。オランダのABNアムロ銀行は、供給の不安定な天然ダイヤモンドに代わって、ラボ製造ダイヤモンド市場が今年から来年にも本格的に離陸するとみている。
人工ダイヤモンド自体は数十年前からあり、新しいものではない。だが、色が黄色かったり混ざりものがあったりした。一方、ここ数年開発が加速しているラボ製造ダイヤモンドは、無色で質も一定しており、カラット数の大きなものを作れるようになったのが特徴だ。IGDAに加入する製造業者は、現在10社以上ある。
そのうちの1社、ダイヤモンド・ファウンドリーは、シリコンバレーの起業家が創設し、米スタンフォード大学や米マサチューセッツ工科大学出身のエンジニアが関わっている。有名デザイナーや先端的なブティックと提携して、おしゃれで現代的な感覚のジュエリーとしてアピールしている。同じくサンフランシスコを拠点とするアダ・ダイヤモンズは、古典的なデザインを多く用意し、幅広い層の消費者に訴えかける。ダイヤモンド大手のデビアスも、長年の反対を覆してラボ製造ダイヤモンドブランドの発表に踏み切り、新興勢力との競争に挑み始めた。
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