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中央銀行の独立性を脅かすもの トランプのFRB介入から得られる教訓

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  • 木内 登英 野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト
きうち・たかひで●1987年から野村総合研究所所属。日本経済の分析、ドイツ、米国で欧米の経済分析を担当。2004年野村証券に転籍、07年経済調査部長兼チーフエコノミスト。12年7月から17年7月まで日本銀行政策委員会審議委員、この間独自の視点で提案を行う。17年7月から現職。(撮影:尾形文繁)

トランプ米大統領は、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策に対して痛烈な批判を繰り返している。最終的には撤回を余儀なくされたが、一時はFRBの政策にかなり批判的な人物をあえてFRB理事の職に充てる考えを示した。また、4月30日〜5月1日の前回FOMC(米連邦公開市場委員会)の直前には、政策金利の引き下げを露骨に要求した。

ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁は、「世界で最も重要な国での中央銀行の独立性について、非常に懸念している」とトランプ大統領に苦言を呈している。政治介入によって中央銀行の独立性が揺らぎ、その信頼性が低下すれば、通貨価値の安定が損なわれて金融市場を大きく混乱させかねない。

ところが、独立機関であるFRBへの大統領の露骨な政治介入に対し、米国民の間では批判の声があまり高まっていない。

それは、物価が安定しているためではないか。一般に、国民が自国の中央銀行の政策に大きな関心を寄せ、その政治からの独立性を重視するのは、インフレが加速するか、金融危機が生じるような局面だ。先進国では長らくインフレは大きな問題でない一方、前回の金融危機からすでに10年が経過して、人々の記憶は薄れつつある。

こうした中で、景気情勢にやや陰りが見られ始めれば、物価の安定を理由にFRBに政策金利の引き下げを強く迫るトランプ大統領の乱暴な姿勢も、それほど強い違和感を持たれないのかもしれない。

実は、この点は、中央銀行側にも責任があるのではないか。中央銀行が、物価安定の重要性を長らく強調しすぎたことの弊害、という面があるからだ。

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