平成は、冷戦期に閉じ込められていたナショナリズムと経済のグローバル化という「2匹の猛獣」が、冷戦終結で野放しになった時代だった。僕は「時務」という言葉をよく使う。時の務めという意味だ。平成は、2匹の猛獣に先手を打って軌道を敷く大きな時務を担うべき時代だった。しかし、それを先送りしたことが今の混迷を招いている。中国と韓国との関係で起きたことも、欧州内で起きている緊張もそうだ。
現在の安倍晋三首相の政治は、経済面では金融緩和でリスクをかさ上げした。経済・財政危機を先送りしたとしか言いようがない。
安全保障や外交面では、今、石橋湛山元首相がいたら「君たちは『裏安保』をやれ」と言うと思う。日米安保が表の安保なら、アジア諸国との友好・親善に努力するのが裏安保だ。安倍流ではその流れが細くなり緊張感を強める方向に歩いているように見える。
もう1つの問題は政と官の関係だ。今度の厚生労働省の統計不正疑惑は政治対行政の問題。与野党が一緒になって取り組まなければならないのに、与野党対決の形になっている。
今回、特別監査の問題が指摘されているが、第三者委員会とか有識者懇談会とか各種審議会は、今や偽装手段と見られ信用する人は少ない。なのに、第三者や有識者や審議会を民意だと言い張る。野党はその根幹に斬り込めないから行政は難なく逃げ切れる。行政にチェック機能が働かないことが日本の統治構造の重大な欠陥だ。
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