従業員による不適切な動画の投稿が社会問題になっている。コンビニエンスストアや飲食店の従業員が商品を不適切に扱うなどの動画をSNS(交流サイト)に投稿するケースが頻発し、アルバイトが行う事例が多いことから「バイトテロ」とも称される。
従業員のこうした行動は、企業にとってはイメージ低下や衛生面での懸念による客離れを引き起こしかねず、その原因についてさまざまな論評が行われている。しばしば指摘されるのは、若者の勤労意識の低下やSNSでの承認欲求の肥大化、低賃金への不満などである。しかし、企業の人事戦略や労働市場全体の視点から議論されることはそれほど多くないように思われるので、少し述べてみたい。
企業はさまざまな方法でバイトテロを抑止しようとする。最も典型的なものは、従業員に対する監視だ。従業員の一挙手一投足が記録され、問題の予兆があれば直ちに介入できるなら、規律違反は深刻にはならない。しかし、実際には完全な監視体制をつくることはコスト面から難しい。そこで、従業員が規律違反をしにくくするような人事管理を導入することが一般的に行われている。
その1つは、従業員教育によって規律違反に対し心理的な抵抗感を持たせることであり、もう1つは規律に違反した従業員がペナルティーを被る仕組みを設けることだ。例えば、高い給与の企業で働く従業員は規律違反が少ないことが知られているが、それは解雇されると収入のロスが大きいためである。就業機会の少ない地域では規律が守られやすい傾向があるが、そこでも同じメカニズムが働いている。長期雇用の下で、後払い方式の賃金を支給することも、従業員の規律維持に役立つ。
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