先日逝去した堺屋太一さんは民間人大臣として、1998年7月から2000年12月まで経済企画庁長官を務めた。私はその前半で物価局長、後半で調査局長としてお仕えした。堺屋さんは経済統計にも強い関心があり、その整備・充実に功績があった。
その1つが景気ウォッチャー調査だ。これは、タクシーの運転手、ホテルのフロントマンなど、経済の第一線で仕事をしている人に景気の現状と展望を評価してもらうというユニークなものである。もう1つは、総務省が行う家計消費状況調査で、家計調査ほど詳細ではないが、消費の基調をつかむために行われているものだ。いずれも堺屋長官のときに検討が進んで現実化し、今日に至っている。
両統計調査とも民間有識者を委員とする検討会での議論を踏まえ誕生したが、この検討会で積極的に統計改革の必要性を説き議論をリードしてくれたのが、日本銀行職員の立場で参加してくれた、村山昇作さんや早川英男さんだった。
この例からもわかるように、日銀は伝統的に経済統計の整備・改革に熱心である。今不正調査問題で揺れる毎月勤労統計調査についても、かなり早い段階で日銀からその精度に疑問が呈されていたようだ。ということは、簡単に言えば、厚生労働省が日銀のような組織であったなら、今回のような不祥事は起きなかったのではないか。
では、日銀と厚労省では何が違うのか。日銀では、日銀短観など経済統計作成部門の地位が高く、組織全体がその統計結果を活用し、日々議論の素材としている。だから、統計部門にも優秀な人材が配置され、その結果も各方面からチェックの目にさらされている。
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