今年2月17日号の本欄「『官邸主導』の歪みを正すには」で、安倍一強下で政策決定が密室化した結果、目的と手段の整合性を欠いた拙速な政策判断が増えているとの懸念を筆者は述べた。しかし、その後事態はさらに悪化しているようだ。論点は多々あるが、外国人労働者の受け入れ拡大と消費増税対策としてのポイント還元に絞って、問題を指摘したい。
外国人労働者受け入れ拡大については、まず従来の政策との整合性が問われる。アベノミクスはデフレ脱却を目標に大胆な金融緩和と財政拡張を続け、雇用増加を最大の成果として誇ってきたはずだ。その結果としての人手不足は「対策」を要する問題なのか。目先の人手不足が問題なら、リフレ策の程度を緩めれば済む。安易な外国人労働者受け入れは、デフレ脱却を遠のかせるのではないか。
もちろん、労働力人口減少に伴う長期的な労働力不足への対応が本当の狙いなのだろう。ならば来年4月施行を前提に、国家百年の計に当たる制度変更を十分な議論もなく強行するのは、あまりに拙速、強引というほかない。
また、経済学者・エコノミストも長くこの問題を議論してきたが、筆者の理解するところ、「いずれ移民政策の転換は避けられないが、その場合は教育や社会保障上の扱いなどの十分な整備が前提となる」「受け入れる外国人は高度人材を主とし、単純労働は抑制的とするのが望ましい。問題の多い技能実習制度の拡大は絶対に避けるべきだ」というのが多数派の見解だった。まだ制度の細部は固まっていないが、最悪ケースに向かう心配もないとはいえない。制度の細部まで詰めたうえで、国民的な合意形成を目指すべきである。
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