100年以上も続いた技術パラダイムが変わる予兆を前にして、自動車業界が浮き足立っている。この動乱は、どこに落ち着くのであろうか。
面白いことに米国『ビジネスウィーク』誌が「スマートカー」という特集を組んでいた。といっても今年の話ではない。ちょうど30年前の1988年6月13日号においてである。これを読み返してみると、現在進行形の動乱の結末が少しは見えてくる。
この特集では、ジェームズ・ボンドもうらやむスマートカーの機能として、カーナビなどの9点が列挙されていた。30年後の今、搭載車が見当たらない機能は一点もない。来るといわれた未来は確実に来たといえよう。少なくとも自動車における技術の進展は、かなりの確度をもって読めるようである。
ただし、最も廉価な軽自動車に標準装備として完全採用されるに至ったものは、現時点で一点もない。いちばん普及したカーナビですら、オプション設定のない車種が残っている。タイヤの空気圧センサーは装着を義務化した国もあるが、日本は例外にとどまるうえ、高価な直接式センサーは高級車が採用するのみである。
残る7点のうち、トラクションコントロール、ドライブ・バイ・ワイヤ、高効率変速機、衝突回避システムの四つは、簡略版の採用が進んでいるが、完全版を採用するのは一部の高級車にとどまる。ヘッドアップ・ディスプレー、アダプティブ・ヘッドライト、アクティブサスペンションあたりになると、一部高級車でオプション採用が始まったばかりである。
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