仕事について自分自身で学ぶ、いわゆる自己啓発が求められる時代になったといわれて久しい。しかし統計を見ると、自己啓発に振り向けられている時間は低水準だ。一昨年に実施された総務省「社会生活基本調査」によると、有業者が自己啓発や学習に振り向けている時間の平均値は、1日当たりわずか6分にすぎない。
もちろん、自己啓発に期待が寄せられているのには理由がある。まず、企業による訓練が停滞ぎみであることだ。日本企業は職場内訓練(OJT)を積極的に実施することで現場レベルでの生産性を向上させ、それを競争力の源泉にしてきた。綿密なOJTのためには、教え手であるベテラン側に人員的・時間的な余裕が必要となる。
ところが、人員削減や管理的な仕事が増えたことによって、それが難しくなっている。加えて、企業外部で革新的な技術が次々に生み出されている現代では、以前に比べると社内の訓練で継承すべきスキルが縮小している面もあろう。
では、自己啓発が活発になされていないのはなぜだろうか? これについては、「時間が取れない」あるいは「費用がかかる」といった理由がこれまで強調されてきた。そうした側面もあろうが、リクルートワークス研究所の最近の調査は、特にこれといった理由もなく自己啓発をしない人が多いという結果を得ている。
ただし、学生時代に授業やテスト対策のみならず、関心を持った事柄について自ら調べものをするなど習慣的に学習してきた人は、そうでない人に比べて、仕事においても自ら「学び」の行動を取る傾向が強いことも、調査で明らかにされている。つまり、自律的に学ぶ習慣こそが自己啓発のカギだということだ。
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