ビッグディールは起きるのだろうか。生命保険業界では再び「再編」の足音が響き始めた。その主役は最大手の日本生命である。外資系中堅生保のマスミューチュアル生命の買収で最終交渉に入っている。日生は最大2000億円をこの買収に投じる見込みだ。
自他ともに認める業界の盟主・日生にとって最大の屈辱は、2014年9月中間決算で保険料等収入首位の座を第一生命に奪われたことである。ショック、憤り……。このときの日生関係者たちの反応は業界で語り草になっている。日生は15年の三井生命買収などにより、すぐに首位を奪い返した。
三井生命買収のもう一つの狙いは販売チャネルの多様化だった。「チャネルが営業職員中心から多様化していく中で、三井住友グループという、金融機関のチャネルを手に入れたのは大きい」(業界関係者)。次に狙いを定めたマスミューチュアルも銀行窓口での保険販売が専門だ。
販売チャネルの強化、多様化の必要性は第一生命や明治安田生命などほかの大手も同じだ。郵政民営化法の下で自由度が限られる、かんぽ生命保険も「M&Aについては生保企業を中心に勉強していきたい」(植平光彦社長)と意欲を隠さない。
日生などの巨大資本に狙われる側にも切迫した事情がある。業界ではマイナス金利の導入で円建て貯蓄性保険の商品開発が難しくなった。マスミューチュアルの場合、他社が相次いで外貨建て保険分野に参入し、その強みが徐々に薄れていった。
特徴を持った中堅が大手に狙われる
日本の生保は死亡保障を事業の中心に置いてきたため、高齢化は経営に大きな影を落とすことになる。特に団塊ジュニアが高齢者入りする15〜20年後から保険金支払いは急速に増えそうだ。経営体力に乏しい中堅以下はその前に最良の「嫁ぎ先」を見つける必要に迫られるだろう。独力で支店や情報システムなどを支えることが難しくなるためだ。今、地方銀行が指摘を受けていることと同じである。
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