5月のすがすがしいある日、ふと思い立って新宿御苑へと向かった。実は、新宿御苑にはかつてゴルフコースがあって、主に皇室の方々がプレーしていた歴史がある。その名残を味わいたかったというのも理由の一つである。
かつてゴルフ雑誌の編集部にいた頃、昭和天皇の青春のゴルフという特集記事を企画し、そのときにいろいろ調べたことがある。昭和初期にプレーされていた。設計は大谷光明だった。摂津茂和の著書『偉大なるゴルフ』によると、このコースにはバンカーがなく、蓑垣などを要所に配してバンカーとしていたらしい。その理由は皇室の観桜・観菊の御会があるので、その大切な芝生にバンカーを掘るのは風致を損ねるからと書いてあった。昭和3年に4ホールが誕生し、その頃は陛下は毎週火・木・日曜の午後、皇后様とプレーを楽しまれた、と記されている。現在の新宿御苑を見回してみると、確かにゴルフコースがあっても不思議ではない風景が想像できる。
記録によると、昭和3年2月23日には新宿御苑で即位の大礼記念コンペが開かれたとある。陛下のハンディキャップは24だったらしい。その後、新宿御苑のコースはなくなり、吹上御苑のコースでプレーされていた。吹上御苑とは、もちろん皇居内、今の吹上御所のあたりで、ちょうど1番ティーグラウンドと9番グリーンが、今の御所のあたりだった。当時のコースの模様を安田幸吉プロ(プロゴルフ殿堂入り)は「300ヤード以上のホールが三つ、100ヤードと200ヤード前後が6ホールあったと推察される。そしておそらくパー30ぐらいだったのではないか」と語っていた。
この記事は有料会員限定です
残り 493文字
