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幸運の女神が「ご褒美」をくれた雪の帰路 冬の北海道、公演中も心は帰りの飛行機に

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歳末に北海道の北見市中央図書館から講演を頼まれた。テーマは「先人に学ぶ働く〈こと〉を粋にする生き方」である。初めての演題であり、そういう例を歴史の中から探してくれ、という意図だろうと思って、話が来たときから大いに食指が動いた。だからほかの仕事をしているときも、意識を同時進行させて、例をあれこれと探り続けた。

ただ、冬の北海道と北陸方面にはどうしても気に掛かることがある。天候だ。特に雪。かつて旭川で雪に閉じ込められたことがある。講談師の6代目宝井馬琴さん(故人)と二人で上杉鷹山の話をした。このときは私の最も望ましくない状況になった。

現地の天候状況によって主催者の判断がいくつかある。1.中止する、2.実行(強行突破)する。ただし飛行機欠航の場合にはやむをえない。3.天候悪化は夜のようなので、とにかく来てほしい、など。

私が恐れるのは3.だ。行きは可能。しかし講演中に雪は本降りになり、話をしながら窓の外を見ると、ドカ雪が霏々紛々(ひひふんぷん)と降りまくっている。講演中にそんなことを考えるのは不謹慎だが、やはり大丈夫だろうかと気になる。帰りの飛行機は飛ぶだろうか、という心配だ。もっと深掘りすれば、帰りに乗る飛行機が羽田で断念し、こっちへ来ないのではないか。旭川ではこのケースになり、馬琴さんとは一晩ホテルで飲み明かした。旧知の仲であり、節度正しい人だ。飲みながら「童門先生よ、俺はいつ人間国宝になるかな」と聞いてきた。そんなとてつもないことは考えたこともないので、「わからねーな。文部科学大臣にでも聞いたら」とかわした。

北見は旭川に次ぐ寒冷地だ。マイナス28度の記録を持っている。羽田をたつときに場内アナウンスが、「目的地は雪です。着陸できない場合は羽田空港に引き返しますので、ご了承ください」と告げた。が、現地(女満別)にはかろうじて着陸した。雪はすでにかなり積もり、会場に向かう車の窓にはからかうように乱舞する雪の群れがまといつく。

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