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ライフ #生涯現役の人生学

どれくらい?日々悩まされる心付けのこと ワインを飲んだらボトルに5センチ分残せ

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私の話を聞いて「落語家だね」という感想を漏らす人がいる。そう言われると私はうれしい。まさに落語家の話法をまねているからだ。名君、上杉鷹山の師、細井平洲は大衆芸能人が話芸を競う両国橋のたもとで芸能人に交じり自分の学説を説いた。どんなにいい話でも“話し方”が悪ければ相手には通じない。

私が範とする落語家は三遊亭圓生(6代目)、桂三木助(先々代)、柳家三亀松(みきまつ)の各師匠だ。いずれも若い頃ナマの人物の演技にお目にかかっている。圓生さんは人情話の大家だったし、三木助さんは「芝浜」の枕に出てくる白魚の話で魅了した。三亀松さんはバチを使わずに三味線を弾き、こたつに入って芸者から「(三味線を)やって」とせがまれ、「ちょっとだけよ」と応ずる艶話で聴衆をうならせた。私は子どもの頃から寄席通いをしていて、三亀松さんのファンだった。かぶりつきでこの艶話を聞いていて、舞台上から「小僧、オレの話がわかるのかよ」と三亀松さんに聞かれたことがある。わかるよとうなずくと、「ませたガキだ」と言われたのも覚えている。

あるとき圓生さんが都電(昔は東京都直営の路面電車)に乗った。顔を知っている車掌が寄ってきて、「師匠あそこが空いてますよ」と空席を示した。圓生さんはそこへ座り、付き人を呼んでこう告げた。「あの車掌さんに心付けをやってくんな」。しかし車掌さんも地方公務員だから「お気持ちだけで」と固辞した。

この心付け(チップ)のことで日々悩む。どのくらいの額が適当なのか、ということについてだ。タクシーの場合、外国なら料金の1割が基準だというが、日本では料金ピッタリで支障はない。が、やはり道中親切にされると気は心で、気持ちだけ礼をしたい気分になる。畏友、故井口朝生(歴史作家、山手樹一郎さんの子息)さんのお母さんが、「ピース(タバコ)一箱分だけさしあげるの」といっておられたことをいつも頭においている。お釣りのもらい方で按配(調整)する。

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