7月下旬に公表された日本銀行の論文「税務データを用いた分配側GDPの試算」が議論を呼んでいる。ここで示された試算値は現行のGDP(国内総生産)値より全般に大きく、特に消費増税が行われた2014年度については現行GDP(実質)値の前期比0.9%減に対し、同2.4%のプラス成長と結果がはっきりと分かれた(図表1)。
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現在はあくまで学会内での学術的論争にとどまるが、GDP速報(QE)に関しては、基礎統計となる家計調査の精度に疑問が呈され、政府内で論議されているさなか。アベノミクスの効果を強調したい安倍晋三政権の思惑も絡み、今後政策論争の争点に浮上する可能性もある。
マクロ経済学には「支出、生産、分配(所得)のどこから見てもGDPはつねに同一」という三面等価の原則がある。現行GDP値(年次確報)の策定では、工業統計などの生産統計をベースとして、生産側の推計値と家計最終消費などの内訳項目を持つ支出側の推計値をまず確定させる。この二つの推計値は基礎統計が同じなので、乖離は小さい。
分配側のGDPについては、雇用者報酬など一部の内訳項目は推計するものの、合計値は三面等価の原則から生産側GDPに一致するよう決められる。この合計値から雇用者報酬などを差し引いた残渣を営業余剰・混合所得という項目にして調整を行う。
これに対し、今回の日銀試算では分配側の内訳項目をすべて個別推計し、それらを積み上げてGDPの合計値をはじき出した点が新しい。
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