安倍内閣はアベノミクスを一段と加速するという姿勢を示している。その一環として8月2日に事業規模28兆円という大規模な経済対策が打ち出され、そのための補正予算も組まれることが決まった。
確かに、日本の景気は一進一退の動きが続いている。消費の低迷が続き、世界経済の先行きは不透明で、輸出も伸び悩んでいる。ここで一段と景気を刺激したいという気持ちはよくわかる。
28兆円といえば、名目GDPの5%以上に相当する規模だから、それなりの効果が期待できるだろう。しかし、結論から言うと、私は今回の対策は必要なかったと思う。
第一に、これほどの規模の経済対策を必要とするような経済情勢だとは思えない。政府や民間エコノミストの多くは、現状は緩やかながらも景気の回復が続いているとしており、人手不足状態が続いていることからもわかるように経済はほぼ完全雇用の状態だ。
この対策の議論が始まった頃は、英国のEU離脱など世界経済のリスク要因が顕在化する中で、株価が下落し、円レートが上昇するといった市場の動揺が見られた。しかし、今では株価や円レートは元の水準に戻っている。経済界から「ぜひ大規模な経済対策を」という大きな声が聞こえていたというわけでもなかったように思われる。
第二に、対策の緊急性や財源などの面で不透明な点が多い。対策には、インフラ整備の促進、低所得者への現金給付、長時間労働の是正、リニア中央新幹線の整備前倒しなど多様なメニューが並んでいる。しかし、長時間労働の是正やリニア新幹線は、長期的に腰を据えて対応すべき課題であり、緊急的な対策として補正予算で処理すべきものではない。
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