2017年4月に予定されている消費税の再増税の雲行きが怪しくなってきた。中国経済の減速や原油価格の低迷に起因して株価が大幅に下落していることなどを受け、安倍晋三首相は「世界経済の大幅な収縮」が起きた場合、再増税を先送りする可能性に言及した。その一方で「10%への引き上げを確実に行うための経済環境を作り出す」など、ノーベル賞学者まで巻き込んだ議論が続いている。
一口に再増税の是非といっても、そのとらえ方はさまざまだ。一つは、そもそも消費増税は必要ないというものだ。金融緩和などでデフレから脱却しさえすれば、高い成長が実現し税収が増えるためおのずと財政は再建できるというわけだ。
その前提は日本経済の成長力への高い期待であろう。しかし、わが国の潜在成長率は1%程度にとどまる。労働人口の減少もあり、今後とも楽観できる状況にはない。加えて高齢化で社会保障給付費も毎年増えている。財政赤字は構造的であり、脱デフレで解消できるものではなさそうだ。税収が増えても、中央官庁の予算(権益)を増やし財政を膨張させるだけだという懸念もある。確かに効率化や行政改革が必須だとはいえ、それだけで財政が健全化するわけではない。ミクロ(個別事業の効率化)とマクロ(財政赤字の縮減)の要請を混同すべきではない。
増税は不可避だとしても景気の先行きが不確実な局面では増税を見送るべきだとの主張もあろう。増税で景気を悪化させるリスクは避けるべきということだ。実際、消費税率を8%に引き上げた際、成長率は2四半期連続でマイナスを記録した。
だが、仮に増税を先送りして財政赤字が累積すれば、将来さらなる(10%以上への)増税が求められるかもしれない。これは将来の景気にとって悪い影響を及ぼす。中長期の観点から増税のマイナス影響を抑えるには、むしろ増税を早期に実施することで経済への負担を平準化することが望ましい。
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