モノ作りの極北は航空機産業だ。であれば、「MRJ」(三菱リージョナルジェット)の初飛行、まずはめでたい。が、そう言った端から、次から次に不安が湧き上がって来る。半世紀ぶりの国産旅客機のつらいところだ。
そもそも、商業運航の免許証とも言うべき型式証明がいつ取れるのか。ビジネスジェット機「ホンダジェット」の初飛行は2003年末。米国連邦航空局から型式証明を取得したのはこの12月8日だ。MRJの型式証明取得が12年後となれば、折角の注文はかき消えてしまうだろう。
さらに、90席規模のこの市場は、従来、ブラジルのエンブラエルとカナダのボンバルディアの2社が牛耳ってきた。この2社が相手なら──などと思っていたとしたら、大間違い。日本より一足先に、中国が参入してしまった。
中国の「ARJ」は16年2月、商業運航に入る。しかも畏怖すべきは、中国はすでに08年、158席の「C919」の開発に着手していることだ。こちらのほうは18年の商業運航を予定している。158席と言えば、世界の巨人ボーイングとエアバスの金城湯池であり、ベストセラー機「B737」と「A320」がそそり立っている。
それでも、航空機産業を真に「産業」とするのなら、90席の狭い市場にとどまってはいられない。MRJだけで頭が破裂しそうな日本に比べ、中国は戦略的にもはるか先を行っている、ということだ。
カナダという僥倖
日本の航空機産業は戦う前から、負けが決まっているのだろうか。いやいや、思わぬ僥倖(ぎょうこう)が転がり込んできた。カナダのボンバルディアが経営危機に陥ったのである。
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