毎年、帝国ホテルで行われる時事通信社主催の新年互礼会には、内閣総理大臣が臨席することになっている。第2次安倍政権が発足した直後の会での光景が忘れられない。
日本新聞協会長だった朝日新聞社の秋山耿太郎社長があいさつし、「最後に一言、新聞に対する軽減税率をぜひよろしく」。すると場違いな拍手をしている人が一人。読売新聞のナベツネ御大であった。
奇妙な呉越同舟だが、異とするには当たらない、その後、2014年の消費増税とともに、新聞の部数は本当に減ってしまった。軽減税率の導入と新聞への適用は、業界の切望事であったに違いない。
ただし、日本自動車工業会が新年会で自動車関連諸税の優遇を訴えるのとはわけが違う。権力の監視役が「政治におねだり」をするという何とも見苦しい場面であった。
それから3年。新聞協会は宿願を果たしつつある。17年春の消費増税の際に、軽減税率の導入が実現するらしい。対象は生鮮食品から加工食品へ、さらに新聞へと広がっている。財源をどうするかもさることながら、こんなに問題の多い制度を導入してしまうことは寒心に堪えない。
およそエコノミストでも税の専門家でも、軽減税率を是とする論者を寡聞にして知らない。世論調査を見れば、世間の大勢は「そのほうが助かるから」と歓迎しているが、全体として見れば「公平、中立、簡素」という税のあるべき姿を破壊する愚策である。
まずは「公平」。軽減税率によって、高所得者ほど得をすることになる。もともと逆進性のある消費税が、さらに格差を広げてしまう。
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