爆弾テロで揺れたタイのバンコク。日本人は以前からタイが好きで、バンコクは今や上海、ロサンゼルスを抜いて日本人が世界一長期滞在している都市になっているのではないだろうか。それだけにテロの心理的な影響が懸念されるが、タイの日本人はテロ以上に現実的な脅威にさらされている。
タイでは、退職後に日本の年金をもらいながら暮らす、いわゆるロングステイがかなり定着してきた感がある。一時、「チェンマイなら1カ月5万円で生活できる」などという怪しい業者の口車に乗った60代日本人が大勢タイに渡ったが、いくらタイでも月5万円で日本標準の生活は無理。タイ人からも「経済難民」と揶揄された人々は自然淘汰されたが、それでもバンコクやチェンマイには多くの日本人が住んでいる。
こうした人たちは、都会やその近辺に住み、昼はゴルフ、夜は外食にカラオケなどといった悠々自適の生活を送っていた。ところがアベノミクスに伴う劇的な円安がすべてを変えてしまった。
ある60代の男性は「年金は増えないのに日本円の価値は60%になってしまった。これまでのような生活はもう送れない」と言い、昼はホテルのロビーで無料の読売新聞を読んで過ごし、夜は自炊生活を余儀なくされている。
これに物価上昇が追い打ちをかける。「3年前は150バーツ(当時約450円)だった日本食のランチが今は200バーツ(約700円)を超えているよ」。在バンコク歴十数年のベテランはずっとタイで生活するつもりだったが、泣く泣く日本に帰っていった。
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