国民共有のインフラとして、全国どこへ行っても公平に、郵便や貯金、生命保険などのサービスを受けられる──。日本郵政グループはこの「ユニバーサルサービス」を維持する義務を課されている。
この義務は2012年に成立した改正郵政民営化法でうたわれている。これは、不採算の地域であっても、サービスを縮小したり放棄したりすることは許されないことを意味する。
郵便や通信などの世界で、こうした義務が課されることは決して珍しくない。たとえば、国営独立機関(米国)、政府全株保有の国有会社(フランスやイタリア)、民間の株式会社(英国、ドイツ)など組織形態にかかわらず、諸外国はいずれも郵便業務についてユニバーサルサービス義務を課している。その代わりに、補助金(英仏伊)や付加価値税の免除(英仏伊)、基金(独仏伊)などの優遇策が講じられている。
だが、日本郵政グループが特異であるのは、銀行(ゆうちょ銀行)と保険(かんぽ生命保険)という金融サービスについても、ユニバーサルサービス義務が課されていることだ。
実際、日本郵政グループにはどの程度の負担があるのだろうか。総務省の情報通信審議会郵政政策部会は現在、このコスト試算をめぐって議論している。5月に公表された試算によると、郵便事業だけで1873億円のコスト負担が発生しているという。さらに、銀行や保険の窓口業務合計で758億円を負担している(図表1)。経常利益額が年間220億円(15年3月期)の日本郵便にとっては、いかにも大きな金額だ。
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