大塚家具の新CM(7月3日から放映)が評判になっている。
店頭でカーテンの色をめぐってお客の娘と父親が言い争いを始めると、母親が「ケンカしない!」。あるいは、「父がすみません」と娘が謝る場面もある。ほんの数カ月前のお家騒動が思い出されてつい笑ってしまう。
自社のスキャンダルをネタにする広告は、ひとつ間違うと消費者のひんしゅくを買いかねない。ところがこのCMは、上品な「いじり」になっていて好感度は高そうだ。
創業者の父とファンドを味方にした長女の委任状闘争、対照的な経営方針で社内も真っ二つ──。普通なら大ダメージだが、悪名は無名に勝るとか。一般消費者相手の家具商売にとって、お家騒動は連日タダで宣伝をしてもらっているようなものだった。
4月の株主総会が終わるや、「かぐや姫」こと久美子社長は「大感謝フェア」に打って出た。5月の売上高は前年同月比で7割増えた。店舗のリニューアルに加え、7月には家具の下取りサービス、新しいロゴも打ち出した。
騒動後1700円近辺で推移していた株価は、7月に入って上昇基調となっている。久美子社長の手腕はなかなかのものと言えるだろう。
先細る親族内事業承継
家族にとっては深刻な事態でも、それによって「有能な跡継ぎ」が出るのなら会社にとっては意味がある。多くの企業の問題は、むしろ「お家騒動が起きない」状況にあると言うべきだ。
日本の企業数は、かなり減ったとはいえ385万。その99.7%を占める中小企業、さらにそのほとんどを占める同族企業にとって、事業承継は深い悩みの種である。
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