住民投票が世界で大流行だ。重要案件について民意を問う、というと聞こえはいいが、つねに民意が正しい保証はないし、直接投票に事寄せた為政者の意図が見え隠れするものもある。
日本では、2010年に橋下徹・大阪府知事が掲げた「大阪都構想」が5月17日の住民投票で否決された。大阪を変えることで日本を変えると息巻いて政治の舞台に登場した橋下氏だが、府知事、市長時代とも議会との折り合いが悪かった。
住民投票における賛成多数という民意を背景に形勢を挽回し、全国的な運動につなげる腹だったのだろう。大阪に、東京と同じ「都」を作るという構想は、大阪人の自尊心をくすぐるアイデアだ。
しかし、二重行政解消以外に「大阪都」のメリットが伝わらなかったうえ、多くの大阪府民が「手段の目的化」を感じ取ったための否決だったといえる。もっとも、賛同する動きがほかの自治体になかったことを考えると、「大阪都」実現でも全国レベルで何ができたかは疑問である。
大阪は事なきを得たが、海外は危険な案件が多い。
英国よ、おまえもか
まずギリシャ。ユーロ圏離脱の是非を国民投票にかけるのでは、という観測がある。万一、ギリシャ政府が国民投票を行えば、金融支援の条件である緊縮財政から逃れたい一心からユーロ離脱に賛成の意見が勝る可能性がある。
しかし、ユーロ離脱は、「渇きに耐えきれず海の水を飲む」に等しい。独自通貨は暴落し、輸入物価が高騰して、国民生活は緊縮財政よりも悲惨な末路をたどる。民衆の現実逃避を正当化する多数決は、自殺行為である。
この記事は有料会員限定です
残り 537文字
