安倍政権下で三度目の成長戦略が6月末にも取りまとめられる。それに先立って、過去2年余りのアベノミクス成長戦略の実績を評価してみよう。その際には、成長戦略を二つのカテゴリーに分けて考えると、わかりやすいと思う。
第1のカテゴリーは、規制改革によって資源配分の効率性を高め、潜在成長力を引き上げることを目指すもので、「正統的」成長戦略と呼ぶことができる。中でも、雇用(解雇規制や労働時間に関する規制緩和、ジョブ型正社員導入)、農業(コメなどの管理価格見直し、株式会社の農業参入拡大)、医療・介護(混合診療拡大、社会福祉法人改革)といった政治的抵抗の強い分野での「岩盤規制」の改革が強調される場合が多い。
これらに関しては、着実に前進してはいるが、スピードは不十分という評価になるだろう。過去数代の政権に比べ成果が上がっているのは事実だが、もともと1年しか続かない政権に成長戦略は無理だ。ようやく農協改革がほぼ実現し、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉も大詰めまで来たが、それも政権3年目の成果である。首相がダボスで胸を張った「ドリルで岩盤に穴を開ける」勢いまでは感じられない。
これに対し、第2のカテゴリーは「賃金を上げろ」「もっと女性を登用しろ」「社外取締役を増やせ」などと、時に法的な根拠もあいまいなまま政府が企業に対してさまざまな要求を繰り出すものだ。これこそ安倍政権に特徴的であり、「非正統的」ないし「異端」の成長戦略といえよう。伝統的な経済学の立場から考えれば、当然こうした介入は間違いであり、現に経済学者にはこうした政府の姿勢への批判も少なくない(その代表は、本欄執筆陣の一人、小峰隆夫法政大学大学院教授だろう)。
この記事は有料会員限定です
残り 781文字
