2013年に国立社会保障・人口問題研究所が発表した統計調査は衝撃的だった。本調査は、公的な社会保障制度と私的な支え合いを調査することを目的としており、調査項目の一つとして他者との会話の頻度を尋ねている。その結果、一人暮らしの高齢男性(65歳以上)の16.7%が2週間に1回以下しか他者と会話をしないと回答した。ここでの「会話」は、同居家族を含めたすべての人との会話を指し、「あいさつ程度」の会話も含めている。一人暮らしの65歳以上男性の6人に1人は、このような緩い定義の会話であっても2週間に1回以下しかしない。逆に、会話が「毎日」あるとした人は約50%。つまり、残りの半数は、誰とも話さない日がある。
一人暮らしでない高齢男性の会話も多いとはいえない。会話が2週間に1回以下の割合は、男性全体では3.0%。この割合は高齢になるほど高くなり、20歳代では2.1%だが、60歳代では3.1%、70歳代では4.8%となる。
対して、一人暮らしの高齢女性については、会話が2週間に1回以下なのはたったの3.9%。「毎日」会話をするのは87%に上る。人との会話という点では、女性は男性よりもずっと長けているようだ。
他者との会話は、生活の質のために、必ずしも重要ではないのかもしれない。中には、一人でいることが好きだという人もいるだろうし、あいさつや世間話に時間を費やすことは無駄だと考える人もいるだろう。しかし、社会的な関係性を保つことは、人の健康にも重要な要素であることが近年の疫学研究からわかってきている。たとえば、友人と会うことがない男性は、友人と会う男性よりも死亡リスクが高い。さまざまな個人レベルの人間関係が豊かな人ほど精神疾患が少ないなど、社会関係と健康との関係は、日本内外のさまざまなデータで立証されている。また、内閣府が行った分析でも、「困ったときに相談できる人」がいることが、幸福度を高める要因の一つであることがわかっている。
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