今年もある日中対話に参加する機会を得た。中国の海洋進出、「一帯一路」構想、集団的自衛権の解釈変更、そして歴史認識問題と、いつもながら議題は尽きない。
参加して思ったのは、中国人も随分おとなしくなったということ。一昔前であれば、その道で知られたインテリでも、靖国神社などの話になるとエキサイトして、テーブルをたたきながら議論するのが当たり前であった。
夜の「白酒(パイチュウ)」による乾杯合戦も見掛けなくなった。昼間は激論を交わし、夜は飲みニケーションで打ち解ける、というのが日中対話の定番であったが、昼間が紳士的になり、つれて夜も静かになったようだ。
昨年の日中対話では、晩餐会の中華コースにフランスパンとワインがついていて、まるで銀座の店のようにお洒落(しゃれ)であった。経済成長とともに、彼らは日に日に洗練されつつある。日本人駐在員同士が、昔の「戦闘モード」の乾杯合戦を懐かしんで、ひっそりと飲んでいたりする。
考えてみれば、彼らはこの10年ほどですさまじく変化した。「民主化」と「法の支配」が進み、権力基盤を固めた習近平国家主席も、大衆の支持を得ることに汲々(きゅうきゅう)としている。そのための綱紀粛正策であって、一党独裁どころか、ネット世論の動向を無視できない。こんな中国共産党の姿を誰が予想しただろう。
日本には速すぎる中国
逆に日本はこの10年、大した変化がない。GDPの平均成長率は向こうが7%でこちらが1%だから、何より両者のスピード感覚に差がついた。GDPが逆転したのは2010年だが、今では円安もあって倍くらいの差がある。この事実から、日本人は目を背けているように見える。
この記事は有料会員限定です
残り 514文字
