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底なしユーロ買いに国民の不安 スイスショックの歴史的意義

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  • 高島 修 シティグループ証券チーフFXストラテジスト

1月15日、スイス国立銀行(SNB)は2011年9月から続けてきたスイスフランの対ユーロ上限レートを撤廃すると発表した。発表直後、スイスフランはユーロや米ドルに対して一時3~4割に及ぶ上昇を見せた。

通貨の歴史を振り返ると、通貨ペッグ制が売りにより崩された例は枚挙にいとまがない。最近では、1992年欧州通貨危機(英ポンドなどの欧州為替レートメカニズム離脱)、97年アジア通貨危機(タイバーツなどの米ドルペッグ制度放棄)、02年アルゼンチン危機(カレンシーボード制崩壊)などが挙げられる。この中で最も下落率の大きいアルゼンチンの例でいえば、対米ドル下落率は半年ほどで約7割に達した。

一方、通貨切り上げ方向でのペッグ制崩壊は、アルゼンチンと同じカレンシーボード制を持つ香港が現在まで通貨制度を維持していることに象徴的なように、極めてまれである。近年でいうと、05年7月の人民元切り上げが例示できるぐらいだろう。このときの対米ドルの切り上げ率は約2%だった。こう考えると、1日で3割を超えたスイスフランの高騰=SNBによるショックは、現代の通貨史の中でも歴史的な出来事といえる。

今となってみれば、このスイスショックの伏線として重要だったのは、昨年11月にスイスで行われた金保有に関する国民投票だ。結果的には否決に終わったが、この国民投票はそれほどまでにSNBの外貨準備膨張政策に対するスイス国民の不安が強まっていたことの表れだった。

こうした中で、先月のECB(欧州中央銀行)の量的緩和導入やギリシャ総選挙を前に、SNBは経済規模比で8割を超えた外貨準備膨張に耐えられなくなったのだろう。

SNBは、主にユーロ建て資産など海外資産の保有を増加させた。だが、そのユーロ圏は構造問題から景気不振や政治・外交的混乱が長期化し、ユーロ安フラン高の抜本的な解決を展望できずに今に至った。SNBの介入政策は底なし沼の様相を呈し、スイス国民の不安は一段とあおられた(図表1)。

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