「寒くなると体が痛む」は手足の冷えが原因かも 自覚がない「隠れ冷え」に陥っている可能性も

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漢方には「不通則痛(通ぜざれば則ち痛む)」という言葉があります。

漢方でいうところの「気(生命エネルギー)」や「血(血液やその働き)」の流れが悪くなると、痛みが生じるという意味ですが、実際、体が冷えると血管が収縮して血流が悪くなり、痛みを生じます。

当院にも今の時期に腰痛、膝痛などがひどくなったと訴える患者さんが来院しますが、ほぼすべて冷えが原因といえます。特に多いのが、"足の冷えがもたらす痛み"です。冷たい足を巡った血は、膝や腰を通過して内臓を巡ります。手足が冷却装置のようになり、冷たい血が循環するとさまざまな痛みを生じやすいのです。

また、女性には冷えによる特有の問題もあります。

足の内側には、婦人科と関係が深い経絡が3本通っています。特に重要な肝経(かんけい)という経絡は、足親指を起点に足の内側を通って子宮につながっています。

足が冷えると子宮も冷え、月経痛や不妊症など、さまざまな婦人科系の疾患の原因になります。実際、私の治療院に来られている患者さんにも、冷えを改善して月経痛がなくなったり、赤ちゃんを授かったりされた方が数多くいらっしゃいます。

手足の冷えを改善するセルフケア

こうした手足の冷えは、セルフケアで改善が可能です。ぜひ試してみてください。

(1)運動で血行促進、筋肉をつける

冷えの根本的な改善法は、とにかく筋肉をつけ、血流を良くすることに尽きます。筋肉がついて血流が改善すれば、自然と冷えは解消されます。

足の冷えを訴える方は、膝から下が棒のように細い、あるいはむくみがあって上半身に比べて不自然に足が太い、このどちらかです。両者に共通しているのは、筋肉が少ないということです。ですので、とにかくこまめに体を動かして、筋肉をつけていただきたいと思います。

ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの運動もいいですが、エレベーターではなく階段を使う、座っているときは足首から下を上下に運かすといったことでも、十分に効果が見込めます。

コロナ禍で通勤が減り運動不足になった人も多く、「ここ2年で急に足が冷えるようになった」と訴える患者さんも多く来院されます。自宅で過ごす時間を上手に利用し、意識して体を動かすようにしましょう。雑巾がけや窓拭きなどの家事も立派な運動です。

運動は、少し汗ばむくらいがちょうどよく、たくさん汗をかくのは毛穴から気が漏れ、かえって冷えを招くのでよくありません。入浴も汗をかきすぎないよう気をつけてください。

このほか、足指から足の甲、足裏、足関節、足首、ふくらはぎ……というように、下から上へとやさしく5~10分くらいかけて揉みほぐすのも、筋肉によい刺激となります。

(2)冷える前に温める

冷えが強い患者さんだと、医療用の温熱器で30分以上温めても足が冷たいままということがあります。ここで言いたいのは、「冷えきってしまった足を温めるのは、大変」ということです。ですので、足が冷えてから温めるのではなく、冷えないような工夫が大切です。

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