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スカパーJSAT、世界初の方法で宇宙ごみ除去

社内スタートアップから生まれた「宇宙×SDGs」

衛星放送「スカパー」などを手がけるスカパーJSATは6月11日、理化学研究所、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、名古屋大学、九州大学それぞれと連携し、スペースデブリ(宇宙ごみ)を除去する衛星の設計・開発に着手したと発表した。2026年のサービス提供開始を目指す。

※自社調べ、特許出願中

「宇宙ごみ」の増加にどう歯止めをかけるか

1957年に旧ソ連が世界で初めて人工衛星スプートニクを打ち上げて以来、各種の衛星が次々と打ち上げられてきた。その結果、天気予報やBS放送、衛星通信やGPSによる位置情報など、さまざまな利便性の高い情報活用が可能になった。

われわれは常日頃、衛星の恩恵を受けているが、実はその日常が宇宙ごみの増加によってリスクにさらされている。使われなくなったり故障したりした人工衛星、打ち上げに用いられたロケットの部品やそれらが衝突した人工物の破片などが加速度的に増え続けているのだ。

1960年の宇宙ごみの量
Ⓒ九州大学 ⒸスカパーJSAT
2020年の宇宙ごみの量
Ⓒ九州大学 ⒸスカパーJSAT

例えば、1mmから1cmの大きさのものだと1億〜2億個ほどあるという。しかも、これらは宇宙空間を秒速約7〜8kmという高速で飛び交っているため、人工衛星に衝突すると大きなダメージを引き起こし、正常な衛星利用が難しくなるおそれがある。

宇宙ごみの問題については、国内外で議論も活発になり、さまざまな方法が検討されているが、安全面、コスト面などの課題も少なくない。

例えば宇宙ごみを磁石やアーム、網などでつかまえて、軌道を変えて高度を下げる方法などもあるが、接近・捕獲のための制御には高度な技術が必要だ。

それに対してスカパーJSATらは、レーザーを用いて宇宙ごみの軌道を変更するという世界で初めての方法を採用した。物体の表面にレーザーを照射すると「レーザーアブレーション」と呼ばれる、物体の表面の物質が気化・プラズマ化し、放出される現象が起きる。そして、この放出による反力によって宇宙ごみを動かすことができるというのだ。宇宙ごみと接触しないことから安全性も高く、ごみを動かすための燃料も不要なのでコスト削減にもつながる。

持続可能な宇宙環境の維持を目指して〜宇宙のSDGs〜

スカパーJSATでは、宇宙ごみの問題はCO2や海洋プラスチックと同様の環境問題であり、宇宙のSDGsと位置づけているという。

同社は1989年に日本民間企業初の通信衛星を打ち上げ、2020年5月末現在、19機の衛星(静止軌道上18機、低軌道上1機)を保有するアジア最大の衛星通信事業者だ。30年以上にわたり、宇宙を利用しさまざまなサービスを提供してきたからこそ、持続可能な宇宙環境の維持に能動的に取り組む意義があると考えている。

同プロジェクトは、2018年に同社で始まった、次世代ビジネスを検討する社内スタートアップ制度から誕生した。社員自らが提案し、プロジェクトを立ち上げ、産学連携で進めてきたという経緯がある。

増え続ける宇宙ごみを世界初の方法で取り除く——。一見、夢物語のような壮大な話だが、それを臆せず提案できる仕組みや、実用化に向けて社を挙げて積極的に支援する風土がスカパーJSATにはある。これまで通り安心して宇宙を利用できる時代に向けて、同社の挑戦に大いに期待が高まる。

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