大手ネット証券初の女性社長が開拓してきた道 「お前、普通でいいの?プロになりたいの?」

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――やはり当時の営業というのは相当厳しかったのですか。

今の営業がわからないですが、経験がなかったのでやはり数字をもってというのは、ちょっと想像がつかなかったです。

――当時は営業の女性も少なかったと思うんです。やはり取引先の反応なども心配だったと思うんですが、実際はどうでしたか。

最初は先輩についてサポートということで、一緒に営業に行くんですが、1人立ちをして「次は私が担当です」と言っていろんな会社を回りました。何社かの社長さんからは、「えっ次は女なの?」とは言われたこともあります。

最初はびっくりしましたが、ここでひるんではいけないと思って、そのような反応のあった会社には、毎日のように通うということをしました。銀行にはたくさんの伝票がありますが、ほぼ全ての伝票や資料を持ち歩いて、何か言われたときにさっと出せるような形でと思い、回っていました。そうすると「よく来るなあ」、関西なので「しつこいなあ」と(笑)。

厳しい先輩ばかり、でも筋が通っていた

――そうしていくことで変化はありましたか。

そうですね。そのように通わせてもらうと、日々求められていること、困っていることも違う中で、「これどうですか?」という風に提案すると、「うちのことを理解して営業してきているな」と理解してもらえたりして、仕事もうまく回るようになりました。

――やはり銀行というのは得るものも多かったと思うんですが、働き方というのはその後の清明さんにとって、どんなものになりましたか。

社会人としての基礎は、当時の梅田支店にあると今も思っています。厳しい先輩ばかりだったんですが、今考えると常に筋が通っていたのが、「常にお客様のことを考えること」を教わってきたと思います。それが今も生きているんではないかと思います。

――その時の上司は怖かったけど、プラスだったわけですね。

プラスですね。今も時々、お会いさせていただいていて、「(当時は)怖かったんですけど」というのは今も言っています(笑)。

(聞き手:日本テレビ報道局・宮島香澄解説委員)

【清明祐子さんプロフィル】
2001年に京都大学経済学部を卒業。当時の三和銀行に入行し、法人営業や証券化などの仕組みを利用して資金調達を行う「ストラクチャード・ファイナンス」に従事。2006年にファンドビジネスを行う株式会社MKSパートナーズに参画、2009年にマネックスグループの投資銀行にあたるマネックス・ハンブレクト株式会社に入社し、2011年には代表取締役社長に就任。2013年にマネックスグループ本社に転籍し、マネックス証券の常務、専務、副社長執行役員を経て、今年2019年4月に社長に就任した。国内5大インターネット専業証券初の女性社長となる。

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