高級時計ブランド、ブライトリングが新始動 BREITLING
スイスの高級時計ブランド、ブライトリングが、去る2018年11月20日に数多くの著名人を招いた祝賀会を中国・北京のフェニックスセンターで開催した。
これは、中国市場参入を祝したもので、「ブライトリング・シネマ・スクワッド」のメンバーである俳優のブラッド・ピットやダニエル・ウーのほか、サーファーのサリー・フィッツギボンズ、世界的写真家のピーター・リンドバーグも参加。約500人の招待客とともにブライトリングの門出を祝った。そして、それに先だってプレス向けに新作の発表やブライトリングモデルの商品説明、それから現行モデル、ヴィンテージモデルの展示などが行われた。
まず今回の発表会で強調されていたのが、陸・海・空というカテゴリーでのすみ分けである。ブライトリングのジョージ・カーンCEOも2017年夏に現職に就任して、初めにとりかかったのがこの仕事だったという。
「まず、歴史を振り返って、陸と海、そして空で使われていた時計のラインナップを整理することから始めました。ブライトリングの顧客は大きく2つに分かれます。大きくてハイスペックな時計を好むこの30年の間にブライトリングを好きになった人たち。一方、40年~70年代のデザインをルーツにしたクラシックなモデルを好む人たちも数多くいます。私は、この2つのグループを大きな傘の下に取り込みたいと思っています。ブライトリングには豊かな歴史があるので、それができると信じています。アーカイブから多くのインスピレーションを引き出すことができるからです」
それで18年のはじめに発表されたのが「ナビタイマー 8」である。おなじみの「ナビタイマー 1」の象徴であった航空計算尺がついておらず、ダイアルがややスッキリした印象となった「8」は、軍民両用のコックピット計器やクラシックなパイロットウォッチを製造するために、1938年に設立された8(ユイット)・アビエーション部門に由来したもの。アーカイブに眠っていた傑作の1つでもある。
さらに今回登場したのが、陸とのつながりに基づいた「プレミエ」であった。空や海とブライトリングの結び付きはよく知られているが、意外にも陸との結び付きも長く続いていたのである。40年代に発売されたオリジナルの「プレミエ」は、ブライトリングが初めてエレガンスを追求した時計。「プロのための計器」にファッション性が加わり、さらに魅力を増したモデルであった。
この新しいコレクションの象徴的モデルは、「プレミエ B01 クロノグラフ 42 ベントレー」。英国の偉大な自動車ブランドとのパートナーシップをたたえたクロノグラフモデルである。
「陸・海・空」をベースにアグレッシブなブランドへ
このように18年になり、明らかにアグレッシブになったブライトリング。やはりジョージ・カーンCEOの就任が大きな契機となったようだ。
「ブライトリングというのは、私が来る前から成功しているブランドでした。ただ、家族でマネジメントしている会社でした。私がCEOになって企業の形態が変わり、アンビシャスな挑戦ができる国際的な会社になったといえます。
だから、いま注目している大きなマーケットであるアジアに打ち出せる戦略ができるのです。ブライトリングは高級時計のメゾンの中でも、ポテンシャルが高いブランドだと感じています。レガシーがありますので、これを生かさない手はない。より大きな成功を収めることができると強く信じています」
「ちょっと保守的だったり、フォーマルだったりというブランドは、もうすでにありますので、そういうところではない、別の選択肢でありたいのです。だからスポーツで言えばトライアスロンやサーフィン、モーターバイクなど、ほかがやってないところに手を伸ばしていくような戦略を取っています。そして、ブライトリングをクールで、インフォーマルなブランドにしたいのです。われわれはどんな人でも喜んで歓迎します。これは長期的な目標ではありますが」
そんな新生ブライトリングが、新たな戦略拠点の地でもある中国・北京でその前途を祝すかのような豪華なパーティが繰り広げられた。その新しいブライトリングに賛同し、「ブライトリング・シネマ・スクワッド」のメンバーに加わったブラッド・ピットも次のように語った。
「ブライトリングと共に北京のこの場に居合わせられて、とてもうれしく思います。このブランドは今、変革を遂げようとしていますが、その歴史はデザインにも取り入れられています。今回、私もその一部になり、それを楽しんでいるところです」
老舗ブランドが新たな一歩を踏み出した、歴史的な発表会であった。