3月米雇用10.3万人増、市場予想届かず 失業率は4.1%、賃金の伸びは小幅に加速
[ワシントン 6日 ロイター] - 米労働省が6日発表した3月の雇用統計は、景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数が前月比10万3000人増と、2017年9月以来、6カ月ぶりの小幅な増加となった。市場予想は19万3000人増だった。一方、賃金の伸びは加速し、労働市場の引き締まりを示した。
2月の就業者数は32万6000人増と、大幅に増加した。季節外れな暖かい気候を背景に、建設業の仕事が増えたためとみられる。
3月は吹雪に見舞われた地域もあり、気候による押し上げ効果がなかった。就業者の伸びはまた、労働市場が最大雇用状態にある中で、鈍化している面もある。建設業と製造業を中心に、適切な人材が見つからないとの声が上がっている。
過去3カ月間の就業者数の伸びは平均して20万2000人。3月の就業者数はこれを下回った。労働人口の伸びに対応するためには月に10万人増える必要があり、3月の数字はこれに近かった。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(ニューヨーク)のエコノミスト、ジョセフ・ソン氏は「悪天候が3月の雇用の伸びの鈍化の主な要因だった」との見方を示している。
失業率は6カ月連続で4.1%を維持した。市場予想は4.0%だった。求職者を含む働き手の割合を示す労働参加率は0.1%ポイント低下の62.9%だった。2月は5カ月ぶりの高水準である63.0%だった。
労働市場のスラック(需給の緩み)が減る中で賃金の伸びは小幅に加速した。1時間当たりの賃金は、前月と比べ8セント(0.3%)増加した。2月は0.1%増だった。3月の前年同月比は2.7%増と、2月の2.6%増から加速した。
エコノミストらは、物価が米連邦準備理事会(FRB)の目標である2%に達するためには賃金の伸びが年間で最低3%増加する必要があるとみている。市場は今年下半期に賃金の伸びが加速し、FRBが利上げを続けることを可能にするとみる。FRBは3月に金利を引き上げ、年内にあと2回利上げする見通しを示した。
キャピタル・エコノミクス(トロント)の首席米国エコノミスト、ポール・アッシュワース氏は「FRBは時間当たり平均賃金に主に注目していく」との見方を示し、「ボラティリティーを除いて見ると、雇用の伸びは加速する傾向にあり、賃金の伸びも上向いている」と指摘。
TSロンバード(ニューヨーク)の首席米国エコノミスト、スティーブン・ブリッツ氏は、「総じて見ればFRBの軌道に変更はない」と指摘。「賃金を巡るデータに基づき、年内にあと3回の利上げが実施されるとの論拠が強まりつつある」と述べた。
3月の平均週間労働時間は34.5時間と、前月から横ばいとなり、悪天候による影響は受けなかった。
JPモルガンのエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「今回の雇用統計では第2・四半期に向けやや減速したことが示唆されたものの、他のデータも勘案すると、総労働時間が継続的に拡大していることは、米政府が自国を阻害するような通商政策を打ち出さない限り、第2・四半期は活動がやや活性化する可能性があることを示している」と述べた。
米国と中国が報復関税の応酬を受け最近は株式相場が下落し、金融市場がひっ迫したが、エコノミストらはこれが直近で雇用に影響することはないとみる。
3月は就業者の伸びが鈍化したものの、賃金が安定的に伸びていることは個人消費を下支えするだろう。第1・四半期国内総生産(GDP)は鈍化した兆しがあり、ほとんどのエコノミスト予想が年率で2%増を下回っている。GDPは季節要因から、第1・四半期に弱含む傾向がある。2017年第4・四半期GDPは2.9%増だった。18年は、1兆5000億ドルの減税政策や財政出動を背景にGDPが加速するとみられている。エコノミストらはこれが、株式相場の混乱の影響をいくぶん相殺するだろうとの見方を示す。
部門別では、建設業の就業者が1万5000人減と、17年7月以来の落ち込みとなった。寒気が戻ったほか、熟練労働者が不足していることが重しとなった。2月は6万5000人増加していた。3月は小売業も4400人減少した。2月は4万7300人増えていた。
正規雇用の先行きを示すとされる人材派遣業は600人減少した。
一方、製造業は3月に2万2000人増加。レジャー・接客業は5000人増加した。増加したものの、増加幅は昨年9月以来の低水準となった。政府部門は1000人増だった。
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