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シンガポールに「待機児童」などいないワケ 主婦家庭でも保育園入園可、日本は時代遅れ

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  • 花輪 陽子 ファイナンシャルプランナー
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また、日本では、「夫の扶養の範囲(年金や保険など夫の扶養に入る)でパートをする」というインセンティブが働きやすい制度設計になっています。配偶者控除の改正によって、年収150万円までは控除を最大に受けることができるようになりました(「試算!『配偶者控除』改正で家計はこう変わる」などを参照)。シンガポールにも配偶者控除はありますが、妻の収入が年間32万円程度とより低く、控除額も少ないのです。そのため、配偶者控除の範囲で働くという発想になりにくく、社会保険の扶養もありません。

なにより、シンガポールでは専業主婦の家庭でも保育園を利用することができます。日本のように「働いていないと保育園を利用しにくい」「世帯収入が高いと保育園に入りにくい」ということもありません。ただ、シンガポール人とワーキングマザーをサポートする形になっているので、地元の保育園ではシンガポール人には助成があり、ワーキングマザーはより多くの助成を受けられるようになっています。

地元の保育園はほとんどの場合、平日7時から19時くらいまで運営されており、土曜日の預かりが可能なところもたくさんあります。3食付きでシャワーに入れてくれる園や、スクールバスを用意している園もあります。働く夫婦は朝子どもを起こして、スクールバスに乗せ、子どもの帰宅後も寝かせればよいというだけなので、平日は仕事に集中できます。また、保育園にいる間に中国語と英語の語学教育に加え、有料でダンスやアート、音楽などの文化的な活動を受けられる場合もあります。つまり、両親が働くことを大前提とした教育システムになっているのです。

保育園でも「不公平感」がない

確かに保育園の料金は決して安いとは言えません。月5万〜10万円程度が一般的ですし、高いところでは20万円近くする場合もあります。政府の介入が最小限なので、自己負担は日本より増えます。ただ、料金の違いは施設やカリキュラムや料理の内容など、サービスの違いによるものです。そのため、日本のように、保育料が高い無認可保育園よりも保育料が安い認可保育園のほうがサービスがよいといった不公平感はありません。

最高級の保育園は外観も白亜の宮殿のようだ(筆者撮影)

シンガポールでは教育方針などに強いこだわりがなければ、すぐに保育園に入れることができます。このように保育園の運営に関しても、ある程度民間に任せて、政府は園を経由して国民に補助をするほうがうまくいくのではないでしょうか。

日本でも、女性が働くことを促す制度作りを加速化することと、働き方の柔軟性や雇用のさらなる流動化が求められます。それには男性の働き方改革がセットになっているのはもちろんですが、なにより子どもの預け先の問題を解決しなければ、女性は仕事で輝けないのではないでしょうか。男性の収入が伸び悩むなか、住宅を買い、車を買い、子どもを育て、物を消費していくには女性の収入が必要になります。日本経済がデフレから脱却をし、活力を取り戻すためには、共働き家庭をサポートするしか、ほかに道はないように思います。

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