訪問の舞台裏には計画的な「予兆」があった。金正恩氏が直行した丹東市内の抗美援朝記念館をめぐる動きだ。同館は朝鮮戦争へ参戦した中国志願軍の戦績を称える中国最大の軍事記念館で、2020年9月に改修を経てリニューアルされた施設だ。
その記念館が10月9日、SNS上で突如「臨時閉館公告」を発表していた。「電力設備の補修および暖房システム改造のため、10月19日から24日まで臨時閉館する」という通知である。まさに休館最終日の24日、金正恩氏が電撃訪問を果たしたのだ。
設備改修の名目は、極秘の保安検査や一般客排除、動線確保のための「隠れ蓑」であったとみるのが自然だ。10月9日時点で訪問日程が水面下で進んでいたことは否定できない。
翌25日の参戦記念日に合わせ金正恩氏の追悼が官製メディアで報じられると、記念館には全土から来館者が殺到した。予約枠は瞬く間に満杯となり、門前には長蛇の列ができた。共同通信も記念館に多数の人々が集まった様子を報じている。
この熱狂に丹東の旅行業界は沸き立つ。「全国ニュースで連日報じられたことは、地方都市にとって何億元もの広告宣伝費以上の効果だ」と、丹東の中国人旅行業関係者は興奮気味に語る。「『金正恩が訪れた記念館を見たい』という問い合わせが全土から殺到している。コロナ禍以降の苦境が続いていただけに丹東経済には特大のプラスだ。金正恩総書記にはまたぜひ丹東を訪れてほしい」と歓迎の声を隠さない。
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