これが凡百のアーティストであれば、キャバクラ嬢を主人公にしたところで、ここまで大きな議論にはならなかったかもしれない。基本的にファンにしか届かないからだ
しかし、国民的バンドとなったミセスは違う。その作品は熱心なファンだけでなく、普段は音楽のMVを見ない人や、子どもを持つ親世代にも届く。そこにはキャバクラ嬢という職業に否定的な人もいれば、若者への影響を心配する人も出てくる。
だからこそミセスとディズニーの関係を持ち出す批判も見られた。ミセスは2025年、東京ディズニーリゾートの夏のイベントにテーマソング「Carrying Happiness」を提供。2026年にもコラボレーションを継続している。
子どもから親世代まで幅広い層に知られるようになったミセスには、それにふさわしいイメージを求める人もいる。キャバクラ嬢を主人公にしたことへの批判には、そうした期待との落差もあったと考えられる。
「キャバ嬢=搾取されやすい立場」との角度での批判も…
さらに、キャバクラ嬢を搾取されやすい立場の女性と捉え「夜職の厳しい現実や搾取構造をエンタメとして消費している」「影響力のある男性アーティストが弱い立場の女性を都合よく描いている」といった批判もあった。これらも、ミセスに国民的バンドとしての責任を求めるものだろう。
そもそも、なぜキャバクラ嬢を主人公にすることに、これほど敏感に反応する人がいるのか。その背景には近年、夜職が急速にポップカルチャーの中へ浸透していることへの戸惑いや不安もあるのではないか。
かつてキャバクラ嬢といえば、基本的には夜の街に出入りする人たちが接する、ある種陰の職業だった。しかし近年は急速にポップ化が進んでいる。
人気キャバクラ嬢はSNSで何十万人ものフォロワーを集め、美容やファッション、ライフスタイルについて発信する。若い女性にとって、キャバクラ嬢は夜の街の住人というだけでなく、身近なインフルエンサーにもなっている。
その象徴の一つが、YouTubeのキャバ嬢オーディション番組『LAST CALL(ラストコール)』だろう。


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