2026年1月に配信を開始した同番組は、人気キャバクラ嬢たちが審査員となり、新たなスターを発掘する内容で、応募者を「シンデレラ」と呼んでいる。
運営会社が5月に公表した資料によると、配信開始から約4カ月で、切り抜き動画などを含む累計再生数は10億回を突破。視聴者の約75%が女性で、18〜24歳が20.6%、25〜34歳が40.6%を占めていた。
注目したいのは、視聴者の中心が女性であり、若い世代が大きな割合を占めていることだ。キャバクラ嬢を題材にしたコンテンツは、むしろ若い女性たちにも広く見られている。
『LAST CALL』以外にも、ABEMAのキャバクラ嬢を主役に据えたバラエティー番組『CHANCE&CHANGE』がある。またドラマでも、永野芽郁が主演と初プロデュースを務める『ヒマチの嬢王』(DMM TV)が今冬に配信予定で、10月22日には齊藤なぎさ主演の『女帝』がスタートした。縦型ショートドラマでもキャバクラ嬢やホストなどの夜職が繰り返し題材となっている。そうなれば夜職のカジュアル化が進む。
キャバクラは合法的な職業だが、客との金銭トラブルや過度な売上競争など、夜職特有のリスクを抱えている。実際、業界関係者の事件やトラブルもたびたび報じられる。しかし、SNSで注目を集めるのは、人気キャバクラ嬢のキラキラとした成功した姿だ。若い世代がそうした姿に憧れ、夜職を目指すことを心配に思う人が出るのも自然なことだろう。
そうした不安を抱く人々にとって、国民的バンドであるミセスがキャバクラ嬢を主人公にしたことは、夜職のスター化をさらに後押しするものに映ったのではないか。
国民的バンドが背負わされる責任は非常に大きい
ミセスは表現者でありキャバクラ嬢を主人公にしたこと自体は間違いではない。人気バンドだからといって、すべての作品を教育的な内容にする必要もない。ただ、キャバクラ嬢を主人公にすることへの批判を、すべて職業差別と片づけるのもまた違うだろう。
夜職で働く人の人生を肯定することと、夜職を若者の憧れとして広めることは別の話だ。そして、夜職の華やかなイメージが広がることへの不安と、そこで働く人々への偏見は、区別して考える必要がある。
今回の騒動は、ミセスが国民的な存在になったことで、作品がファン以外の人々にも届き、その価値観や不安と衝突するようになったことを示している。そして、かつては夜の街に限られていたキャバクラ嬢の世界が、SNSやエンタメを通じて若い世代の日常にも入り込んでいることへの社会的危惧も感じられる。
ミセスのMVは、その二つが重なったところで批判を浴びたのではないだろうか。


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