では、なぜ、長い歴史を持つ寺院は、時代が変わっても人々を惹きつけ続けることができるのでしょうか。
実は、その極意は意外なほどシンプルなのです。
時代に合わせて「表現を変える」
その好例が、観音巡礼の伝統を持つ「西国三十三所」です。
世界遺産を含む33の札所からなる、日本最古の観音巡礼の道として知られています。
しかし、札所の皆様は、巡礼者の高齢化という課題を抱えていました。このままでは、観音巡礼の文化を次世代に受け継ぐことが難しくなる。そう考え、草創1300年を機に、解決策を探る会議を開きました。
集まったのは、錚々たる寺院のトップの皆様。私もその場に呼んでいただき、議論の行方を見守っていました。
ところが、答えを導き出すプロセスは、拍子抜けするほどシンプルだったのです。
まず、議長が寺院の皆様に尋ねました。
「皆さん、若い女性が好きそうなもの、何か持ってはりますか?」
観光の世界では、「人を集めるなら、まず女性に声をかけろ」といわれます。議長は、そうした鉄則を踏まえて問いかけたのです。
ここで大切なのは、寺院には、簡単には変えられないものがあるということです。
テーマパークのように、新しいアトラクションをつくるわけにはいきません。長い年月をかけて守り続けてきた伝統そのものを変えるのではなく、その中から解決策を見つける必要があったのです。


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