ただし、これらは流行の初期の武漢株の頃のデータです。その後、ウイルスの性質も変化し、ワクチン接種も広がったため、現在のリスクは当時とは異なる可能性があります。 ウイルスの株は変わりましたし、ワクチンも広がりました。とはいえ、「コロナはただの風邪ではない」ことは、多くの研究から明らかになってきたと言えます。
新型コロナウイルスは、「脳の炎症」を引き起こす
では新型コロナウイルスは、どんなしくみで脳に悪影響を及ぼすのでしょうか。カギとなるのは「神経炎症」、つまり脳の中で続く炎症反応です。
私たちの脳には、ミクログリアと呼ばれる「脳のお掃除係」のような細胞がいます。ふだんは、脳の老廃物や傷ついた細胞のかけらを片づけたり、神経を守る存在です。ウイルスが侵入すると、ミクログリアは活性化して感染から脳を守ろうとします。
しかし、その反応が強くなりすぎたり長く続いたりすると、炎症が過剰になり、かえって周囲の神経細胞を傷つけてしまうことがあります。これが神経炎症です。
実際に、新型コロナの神経後遺症の患者さんの脳を調べた研究があります。ミクログリアが活性化しているところを見られる技術を活用したところ、大脳皮質、視床、大脳基底核といった脳の広い範囲で、神経炎症が起きていました。
さらに、新型コロナにかかった人の血液を調べた研究もあります。
ここで注目されたのは、血液中の「アミロイドベータ42(Aβ42)」と「アミロイドベータ40(Aβ40)」の比率、つまりAβ42/Aβ40比です。Aβ42はAβ40に比べて凝集しやすく、アルツハイマー病の脳に蓄積するアミロイドの主要な成分です。
新型コロナに感染した人では、感染しなかった人に比べて、Aβ42/Aβ40比の低下が約2%大きいことがわかりました。この比率は、脳内のアミロイドベータ蓄積が多い人ほど低くなる傾向があり、脳内のアミロイド異常が確認できる血液バイオマーカーのひとつとして研究されています。


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