こうした不安から、各地の公安委員会には運転免許証の再交付に関する相談や申請が相次いでおり、十数県で特例的な再交付も認められている。
しかし、免許証を再交付すれば安心できるのだろうか。すでに漏洩した顔写真や氏名、生年月日、住所などはそのまま残る。新しい免許証を取得しても、古い免許証画像が第三者の手から消えるわけではない。
さらに問題なのは、一般の企業が、提示された免許証画像が再交付前の古い免許証であると必ずしも確認できないことだ。免許証番号の照合やICチップを利用した本人確認などを行わず、画像だけで本人確認を済ませる仕組みであれば、古い画像が利用される危険が残る。つまり、再交付の手間や費用を消費者に負わせても、根本的な解決にはならないのである。
金銭的な実害が生じる前でも、損害賠償請求はできるのか
こうした状況を受け、被害者が共同で損害賠償を求める集団訴訟の動きが始まっている。弁護士が開設した専用サイトには、10月中旬時点で8万人超が登録しているという。
しかし、実際に借金をされたり、金銭を奪われたりした被害が確認されていない段階で、何を損害として賠償請求するのか。考えられるのは、プライバシー侵害による精神的苦痛に対する慰謝料である。金銭的な実害が確認されていなくても、精神的損害が問題になり得る。
2014年に発覚したベネッセの個人情報漏洩事件では、17年に最高裁が個人情報の漏洩によるプライバシー侵害を認め、精神的損害について審理を尽くすよう求めた。その後の関連訴訟では、1人当たり1000円の慰謝料や、委託先の関連会社に対し弁護士費用相当額を含めて3300円の賠償が認められた例がある。


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