有料会員登録
ライフ #個人情報漏えい地獄

《タイムズカー情報流出》慰謝料は過去事例で数千円 免許証を作り直しても消えない不安…被害者の"終わりなき後始末"

7分で読める
被害者は、免許証を再交付すれば安心できるわけではない(写真:ブルームバーグ)
2/5 PAGES
3/5 PAGES
4/5 PAGES
5/5 PAGES

今回も、免許証画像の漏洩による精神的苦痛について慰謝料請求が認められる可能性はある。ただし、実際に認められるか、金額がいくらになるかは裁判所の判断による。仮に過去の例と同じく数千円の慰謝料を得るために個人で裁判を起こすことはコストを考えると現実的ではなく、集団訴訟ということになるが、たとえ勝訴しても個々人が得る賠償額は微々たるものになる可能性が高い。

しかも、免許証を再交付する際の手数料は1500〜2700円程度とされる。再交付費用だけで、慰謝料の過去事例と同程度か、それを上回る。また、タイムズモビリティは補償について「調査の結果を踏まえて、全体方針を決定する予定」としており、具体的な内容は未定だ。

そもそも企業は個人情報を集めすぎていないか

今回の事件を機に、より根本的な問題を考える必要がある。現在、インターネットでサービスに入会したり、商品を一度購入したりするだけでも、生年月日や性別を求められることが少なくない。場合によっては婚姻の有無や年収まで質問される。しかも、これらの項目が「必須」とされ、回答しなければサービスの利用や購入ができないこともある。

もちろん、年齢確認が法令上必要な商品や、収入情報が必要な金融取引などもある。しかし、通常の商品購入やサービス利用に、正確な生年月日や婚姻状況まで必要なのだろうか。

企業にとって個人情報は、顧客分析やマーケティングに利用できる価値ある資源である。一方、消費者にとっては、情報を提供するほど漏洩時の危険が増大する。個人情報保護法は利用目的の特定や適正取得などを求めているが、事業者がどこまで情報を集め、どれほど長期間保存するかについて、消費者が実質的に選択できる機会は乏しい。

必要のない個人情報は最初から集めない。必要がなくなれば速やかに削除する。この原則を徹底することが、最も確実な漏洩被害の防止策である。

今回の事件は、単なる一企業のセキュリティー問題ではない。個人情報を過剰に収集し、長期間保有する社会の仕組みそのものが問われている。企業の利益のために収集された個人情報の漏洩リスクを、なぜ消費者がいつまでも負わなければならないのか。今こそ、その責任のあり方を問い直すべきである。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数