西田氏は今年4月に石井氏が結成した自民党参議院クラブのメンバーで、石井氏に近いことで知られる。その一方で、2024年の総裁選で高市首相の推薦人となったこともあり、西田氏は高市首相と遠いわけではない。その西田氏が記者団に「まったく納得できない。そう思っている人が多いと思う」と語ったのだ。
石井氏の後任には、同じ旧平成研から参院議運委員長だった青木一彦氏が任命された。青木氏は、政界引退後も絶大な影響力を発揮した故・青木幹雄氏の長男で、選挙区の関係で石破茂前首相に近く、石破政権では参議院側の官房副長官を務めた。
その石破氏は10月11日、鳥取市内で開かれた山陽近畿自動車道の「南北線」開設に向けたシンポジウムに参加した後、記者団に対して「(簗氏は)政治に携わる者としてかなり疑わしい」「根本的に国会議員は国民の代表であることを認識していない」と批判した。
高市首相に対しても、「総理として何をやらせようとして任命したのかが問われる」と苦言を呈している。たとえ石井氏を排除しようとも、参議院から消せないものがあるわけだ。
試される「良識の府」の真価
それでも高市首相が簗氏を守ろうとするのなら、過去の教訓を学んでいないといえるだろう。06年9月に発足した第1次安倍晋三内閣は、同年12月に佐田玄一郎行革担当相(当時、以下同)が政治資金問題で辞任。翌07年5月には不祥事が相次いで発覚した松岡利勝農水相が自殺し、7月に久間章生防衛相が「原爆投下しょうがない」発言で辞任した。
そして同月に行われた参院選では、自民党は27議席を減らし、83議席となり第2党に転落。8月には事務所経費問題で赤城徳彦農水相が辞任し、その後任の遠藤武彦農水相も補助金不正受給問題が発覚して辞任。こうして第1次安倍政権は安倍首相の体調悪化を理由に幕を閉じた。
その反省で、第2次安倍政権は不祥事に厳しく、後援会の観劇会の収支の不実記載が発覚した小渕優子経済産業相など、計7人の大臣を更迭。安倍元首相が派閥のパーティー券代のキックバックを禁止したのも、その延長であったに違いない。
一方で高市首相は、9月の内閣改造で1746万円の不記載があった簗氏を農水相に、836万円が不記載だった関芳弘氏を文部科学相に任命。要するに「安倍元首相の後継」を自任するも、その「遺志」は受け継がれていないのだ。そして今年2月の衆院選で316議席を獲得した腕力でもって、突き進もうとしている。
「良識の府」はそれを阻止できるのか。今まさに民主主義の神髄が問われている。


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